わんこは 毎日、眠った様な 状態が続きました。



それと同時に 悲しげな かすれた声も



聞かれなくなっていました。




この数日の間に 痩せ細って、背骨が はっきり見えています。



寿命が 尽きるまで 苦しまないで いられますように



と祈りました。私は、毎日、毎時間、毎分、毎秒、



心配で 呼吸を 確認するのが 癖のようになっていました。




心臓の鼓動が 目で 確認できると ホッとしたりしていました。




目が 離せない様子が 続いていたある時、



目を開け、首を少し上げたのです、




どうした?どうしたの?と聞くと 耳を澄まして




何かを 聴いている様子でした。




門が 開いたのです。誰か来た?



驚いた事に わんこは、一生懸命 首を回して、




あたりを 見ようとする姿勢を しました。



ツカツカ、靴の音です。




わんこの尻尾が 左右に揺れています。




びっくりしました。待ちわびていた恋人を みつけたかの様な 喜び方です。




動かなくなった身体で、必死に何か言いたげで 私を見ました。




すると 玄関が開き、単身赴任中の主人が 入ってきたのでした。




納得でした。すべて理解できました。



わんこは この時をずっと待っていたんだな とわかりました。



主人は、想像していたより かなり 深刻な様子に




ショックを 隠しきれませんでした。




主人が ご飯を 差し出すと 寝たままですが、



顔を 横にむけ 口を もっていきました。



何とか たべ、顔をあげ やっとこさ 水もとりました。



主人は こどもの様に大喜びで、「食べた、食べたぞー」と




ちょっと 安定してきました。



主人は わんこと共に 玄関に寝ました。




わんこも それは 嬉しそうで、顔を 上げる表情をしたり、



落ち着いた感じでした。ふた晩 そうやって過ごし朝方、




主人が 慌てて「様子がおかしいぞ、水も飲まんし、反応がおかしい」



と言うのです。ティッシュに 水を含ませて、



少しずつ 絞って口にふくませていたけど、飲まない。




息子は、主人が 帰宅して わんこが 落ち着いているようなので、




出勤して行ったばかりでした。




「このまま見ていられない、病院に連れて行こう」




と主人が 言い出しました


病院の先生からは これからは 体を動かすことは



わんちゃんに 大変なストレスで とてもキツイことです




静かに見送ってください



と言われていました   そう言っても主人は 納得してくれません 




やれるだけ やってみようと 布団に 寝かせたまま



四隅を持ち 静かに車に 乗せて 病院へ向かいました




わんこの心臓の鼓動が、トントントントンと 忙しく鳴っています。



苦しいのかな?痛いのかな?心配です。



先生は、モニターを 見ながら言いました。




先生:「もう心臓は止まっています。」




私 :「そんなことないですよ、だってトントントントン、胸が動いています、」




先生: 「私もわかりません、心臓は機能していないのに



心臓の弁を 動かしています。必死で 生きようと しているのでしょうか?」




その時 思い出しました、




以前 先生が 言っていた事を。




(犬は 死に 執着がないが 飼い主達が 死なないでと 
願う 気持ちに応えようと、頑張るのですよ)




もう、眠らせてあげないと いけない、かわいそうだと思いましたが、



主人は まだなんとか、手はあるんじゃないかと ジタバタしていました。



しかし、心の中で「頑張ってくれてありがとう!」と言ったのでしょう、




そのあとすぐ先生が、「あっ、もう逝きますよ」と言い、静かに眠りにつきました。